はじめに
思えばずいぶん長い年月に渡って洋楽を聴いてきた。
いちばん多感な時期、ちょうど高校生の頃16、17くらいの時に私は本格的に洋楽を聴き始めた。
だいたいもう40年くらいは聴き続けてきたわけだ。
その頃のアメリカは空前のディスコブームの真っ只中。1970年代も終わろうとしていた。
そしてそれはアメリカの音楽シーンが大きな変化を迎えていた時期でもあった。
こういった時代の変わり目というのは名曲が生まれることが多い。1969~1970年がそうであったように。
事実この1976~1979年頃というのは、ほんとうに後世に残るような名曲が多かったし、良質な曲が多かった。
ビートルズ解散から10年で、まさにロックが、ある種の完成期・円熟期を迎えていた時代と言える。
そして何より、この頃の洋楽というのは、今よりもずっと「驚き」に満ちていた。
今、振り返ってみても、私の個人的な感情抜きにしても、この時期の洋楽というのは明らかに今とは比較にならないほど数々の「驚き」に満ちたものが多かった。
いや、正確には「この時代くらいまでの洋楽」に、今とは比較にならないほどの「驚き」があったと言った方がいいのかもしれない。
ここで言いたいのは、人間、歳をとるとどうしても自分の若かった頃がいちばんいい時代だったと思いたがるものだ。
また、知らないうちに感受性が鈍っているため、そう感じるのだという人もいる。
私にも多少そういった面はあるのかもしれない。
しかし、洋楽を今の時代までずっと聴き続けてきた私の実感として、やはり、この時代、70年代終盤の洋楽というのは、今の時代の洋楽よりは唖然としてしまうような「驚き」に満ちていたと感じている。
また、さらに想像するに、その70年代よりももっと前の時代には、もっと大きな「驚き」の洋楽の時代、瞬間があったに違いないとも思っている。
それは言うまでもなく、エルヴィス・プレスリー、ビートルズの登場の時代だ。
残念ながら私はその時に居合わせていないので、その時の「驚き」は想像に任せるしかないが、当時の音楽シーンを考えてみれば、その「驚き」の度合いは、さらに70年代の比ではなかったに違いない。
このブログでは、そういった、洋楽が真の「驚き」をもって迎えられていた時代の話を、「驚き」という言葉をキーワードに、私の音楽経験の中から限定的ではあるが綴ってゆきたいと思う。
長く洋楽を聴いてきた。
苦しい時も楽しい時も洋楽と共に歩んできた自分の人生を振り返る意味でも、今、人生の一区切りとして、語ってゆきたい。